冷凍食品
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冷凍食品(れいとうしょくひん)とは、長期保存を目的に冷凍状態で製造・流通・販売されている食品をいう。
概要
この食品は水分や油脂が凍結・凝固する程の低温にすることで微生物の活動を抑え、長期間(社団法人日本冷凍食品協会[1]によるとマイナス18℃以下であれば製造後1年程度)にわたって保存できるのが特徴。調理済みないしは下ごしらえ済みであるため調理の省力化に役立つことから、飲食店から一般家庭まで広く普及している。また、冷凍時に急速冷凍することで食品の鮮度を保つように配慮されており、長期間、いつでも新鮮な状態を味わうことが可能である。
冷凍前にあらかじめ調理がしてあり、食べる前に冷凍状態のまま油で揚げたり、電子レンジや湯煎で加熱したりするだけで盛り付けできるようになっているものが多く、また料理の食材として、冷凍状態のまま調理できるものもある。中には常温や冷蔵庫で解凍するものもあり、正しく解凍すれば、非冷凍の食材・料理と見分けが付かない場合もある。
商品としては野菜・果物・魚介類などの下ごしらえ済み食材のほか、フライ・うどん・ピラフ・ピザといった調理済みで後は盛り付けるだけの料理など、バリエーションに富む。また近年では電子レンジの普及に伴い、盛り付け済みで専用容器付きの冷凍食品も多数存在しており、これらは多忙な現代にあって重宝されている。
最もこれらを消費しているのはアメリカ合衆国である。同国内ではスナックフード・軽食、果てはランチやディナー向けなど、様々なニーズに対応した製品も多く、紙箱を冷凍庫から取り出し、電子レンジに入れて指定の時間温めれば、あとは蓋を開くだけでステーキやポテトサラダ、パンにデザートまでが、プラスチック製の付属フォークとナイフで食べられる製品まで存在する(こうしたものは俗に「TVディナー」と呼ばれている)。
なお、保存温度の「マイナス18℃」は0℉(華氏0度)に由来する。さらに温度を下げれば、魚に寄生するアニサキスのような寄生虫を殺すこともできる。
冷凍食品の注意点
• 低温(マイナス18℃以下)で保存する。取り扱い中は凍傷に注意する。
• 一度溶けたものは再凍結させず、早めに使い切る。水分が抜けたり、パッケージ内部で結露したものが再凍結して風味が落ちるほか、鮮度が著しく落ちる。
• 結露した冷凍食品を油で揚げると、水分が急速に気化(水蒸気爆発)し、熱い油が飛び散り、やけどや火災の原因とるので、注意が必要である。
• 賞味期限を守る。あまり長く保存すると、水分が昇華して乾燥してしまい(冷凍焼け)、解凍してもパサパサになる。またパッケージ内で水分が再結晶化(霜になる)して、部分的にベシャベシャになる。
• 運搬中はできるだけ溶かさないようにする。一般家庭で購入する場合には、買い物の最後に購入して、早く家庭の冷凍庫に入れる。ドライアイス等のサービスを行っている店舗で買う場合は、ドライアイスを付けてもらうとよい。